読みもの
季節の福だより ー夏の特大号 暦会館前編ー
2023.08.04 up
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
2023.08.18 up
【季節の福だより】
季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」としてお届けします。
福井の季節を切り取ってお届けする「季節の福だより」。今回は夏の特大号<後編>です。
日本でも珍しい“暦”がテーマの資料館「暦会館」を引き続きご紹介!
8月も後半を迎え、残暑厳しい中にもほんのり秋の気配が漂い始めました。子どもたちの夏休みもいよいよラストスパート!
どこか面白いところに出かけたい、まだ自由研究のテーマが決まらない…、そんなときはぜひ福井県おおい町の暦会館に訪れてみませんか?
陰陽道のふるさと、暦会館。星型の街灯は、この地で星がよく見えることと、陰陽道の五芒星にちなんでいるのだそう。
前・中編では、土御門家の歴史や暦注、歴代の暦について理解を深めてきました。
前編はこちら
読みもの
2023.08.04 up
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
中編はこちら
読みもの
2023.08.10 up
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
【季節の福だより】 季節ごとの福井の風景や文化、風物詩などを、福井県福井市に本社を構えるcalendiaが「福だより」と…
後編では、明治時代以降の暦を見ていきます。
さて、学芸員の山田さんに案内してもらったのは、こちら。
暦の歴史を語る上で欠かせない、明治6年の太陰太陽暦から太陽暦への改暦。
それまで使用されていた天保暦(旧暦)から、私たちが今も使っているグレゴリオ暦(新暦)に変更になりました。
新旧の官暦(政府が管理していた国の正式な暦)が並んで展示されています。ここで暦の歴史が大きく動いたのですね!
旧暦についてはこちらをチェック
改暦についてはこちらをチェック
(山田さん)
「明治政府は改暦を実施の1ヶ月前に発表しました。そして明治5年12月2日の次の日が、いきなり明治6年1月1日になってしまったのです。当然人々は大混乱に陥り、来年の暦をすでに発行していた印刷会社も大損でした」
いきなり12月3日が元旦になってしまうだなんて、その混乱ぶりは想像に難くないですね。しかもこれまでとは異なる新しい暦になるなんて、そう簡単に理解できるのでしょうか…
と思っていると、山田さんの手には1冊の資料が。
(山田さん)
「これは、新暦の解説書「改暦弁(かいれきべん)」のレプリカです。福澤諭吉がたったの数時間で書き、爆売れしたといいます。今読んでも面白いんですよ!」
このページは時計の見方を説明しています。この時代になってくると、ある程度書いてあることも読めるようになってきますね。
明治政府の都合で強行された改暦。ちゃんと解説書でフォローがあって良かったです…。
* * *
改暦の際、吉凶占いなどの暦注は根拠のない迷信として、暦から削除されてしまいます。しかし暦注を求める人は多く、民間で密かに暦注を記載した暦が発行され、それらは「おばけ暦」と呼ばれていました。
略本暦(官暦)とおばけ暦。
おばけ暦の方は、表紙に「暦」という文字が使用されていません。取り締まりの対象にならないように、ということなのだそう。
暦注はそれだけ多くの人々の生活に根付いていたのですね。
展示されている暦が、このあたりから一気に色鮮やかになりました。
広告用のチラシに暦をつけた「引札暦(ひきふだこよみ)」です。
引札暦は、お得意様に配る名入れカレンダーと同じようなもの。名入れカレンダーを作る会社のスタッフとしては、一気に親近感!
(山田さん)
「引札暦の絵柄には時代が反映されています。明治時代後期〜大正時代初期くらいまでは美人画が流行っていたので、女性が描かれた暦も多いですね。」
縁起のいい七福神のイラストも目立ちます。上段にはイラスト、下段には暦があって、まさに現代のポピュラーな壁掛けカレンダーの構成と同じですね!
こちらは、七福神、鶴、富士山にお札ととてもおめでたいイラストが描かれ、醤油店の名入れがされています。お米や味噌、醤油など生活必需品の小売店や卸売り、石油製品を取り扱うお店の名が入ったものも。
(山田さん)
「改暦後も太陰暦(旧暦)は庶民の暮らしに必要だったので、ほとんどの暦に残っています。明治以降、日曜を休みとすることが多かったため、日曜表が載っているのも特徴ですね」
あ!ついに、1ヶ月ごとにめくるスタイルが登場しました!こちらは1922年(大正11年)のもの。馴染みのある壁掛けカレンダーの形です。
暦というより「カレンダー」と呼びたくなりますね。
ちなみに、壁掛けカレンダーはめくった後は捨ててしまうこともあり、あまり残っていないのだそう。
1990年代の旧郵政公社の暦。干支や縁起物を描き、引札暦の流れを汲んでいます。ここまでくると、記憶にある方もいるかもしれませんね。
昭和、平成、令和と、ここから先のカレンダーについては、みなさんもよくご存じの通りです。暦の歴史は、知れば知るほど面白くて感心することばかり。もっと暦について知りたい!そう思える有意義な時間でした。
ここまで暦の歴史に沿って暦会館の展示をざっくりと紹介してきましたが、これだけではありません。
他にも、暦の印刷に使った版木、香盤時計、絵暦などなど…貴重な資料から、暦の奥深さを伺い知ることができます。
江戸時代に使用されていた版木。一年しか使えないため、もったいないので煙草盆や火鉢などにリメイクされていたのだそう。
八卦占いコーナーでは、筮竹(ぜいちく)を使って自分で占いをやってみることもできます。
さて、全3回に渡って暦会館の見どころを紹介してきました。いかがでしたか?
暦について詳しくなると、なんでもない1日が少し特別な日にも思えてきます。
今も昔も、人々の暮らしに欠かせない大切な暦。ぜひ、暦会館でその歴史に触れてみてくださいね。