2024.05.17 up
[季節を愉しむ一杯] 5月 -新茶-
移ろいゆく季節の中でほんの少し足を止め、その時その時に寄り添った一杯をゆっくり味わってみませんか?
季節をぎゅっと詰め込んだその味わい、香り、色彩が、慌ただしく過ぎ去る日々に彩りを添えてくれます。
旬の食材を使ったものや年中行事にまつわるものなど、暮らしの中で気軽に季節を愉しめるドリンクを毎月一杯ずつ紹介します。
5月の一杯「新茶」
じわじわと陽射しが強さを増しはじめました。
近づく夏の気配に心弾ませつつも、短すぎる春に戸惑う気持ちも隠せない今日この頃。
今回ご紹介する今月の一杯は「新茶」です。
「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘みじゃないか」
誰もが馴染みのある唱歌『茶摘み』。
八十八夜とは、立春から数えて88日目(2024年は5月1日)のことで、お茶は八十八夜が初摘みの時期といわれています。
初摘みのお茶が「新茶」として出回るのは、一年のうちのほんの一時。
この時期を逃すことなく、ぜひ味わってほしい一杯です。
新茶を求めて近所のお茶屋さんへ。新茶について、伺ってきました。
「初摘みのお茶は、若葉ならではのフレッシュさと、ぎゅっと濃縮された旨味・甘みが特徴です。うちで取り扱うのは5月頭から6月いっぱい。ぜひ新茶ならではの風味を味わってほしいですね」
そう言いながら、おすすめだという「さえあかり」の新茶を包んでくれます。
「熱湯だと渋みが出てしまうので、淹れる時は沸かしたお湯を一度少し冷ましてください。旨味を引き出すためには70〜80度くらいがおすすめですよ」
とおいしく淹れるコツを教えてくれました。
では早速淹れてみます。
1.人数分の湯呑みに沸かしたお湯を淹れて、少し冷まします(70〜80度)。
2.急須にお茶の葉を入れます。5人分で10g、2〜3人の場合は一人約3gを目安に。
3.湯呑みのお湯を急須に戻し、60秒ほど待ちます。
4.濃さが均等になるように湯呑みに注ぎます。最後の一滴まで注ぎ切りましょう。
さあ、美味しい新茶をいただきましょう。
これからの季節には、水出しもおすすめとのこと。
お湯の温度が高いほど渋みが出やすいため、水出ししたお茶は渋みがなく甘さが際立ちます。
マイボトルで作ってお出かけしたくなりますね。
「新茶って縁起物なんですよ」とお茶屋さん。
八十八夜に収穫された新茶を飲むと、1年間無病息災で過ごせると言われているのだとか。
おうちで淹れて楽しむのはもちろん、大切な人に贈るのもいいですね。
ぜひ、今の季節だけの新茶の味わいを楽しんでください。