2022.02.21 up

植物たちの春じたく。生命力を感じる“冬芽観察”に出かけよう![親子のための今月のRemind]

冬の落葉樹は、パッと見は枯れ木に見えても、よーく見ると冬芽をつけて春を迎える準備をしています。

樹種によってその色や形は様々で、個性豊かなのが冬芽の面白いところ。

 

天気のいい日には、冬から春への移り変わりを体感しに、子どもたちと冬芽観察に出かけてみませんか?

緑が少なく寂しげに思える冬の公園ですが、いつもとちょっと視点を変えると、新しい発見があるかもしれません。

 

 

 

 

冬芽ってなに?

冬芽観察

 

すっかり葉を落として、寂しげな冬の落葉樹。遠くから見ているだけでは気がつかないけれど、近づいてよーく見てみると枝の先に可愛らしい芽をつけています。

 

冬の間に枝の先につく小さな芽のことを「冬芽」といい、この中には、いずれ葉や花になる芽がぎゅっと収められています。春になると一気に芽吹くその生命力を、この冬芽に蓄えているのですね。

 

冬芽には、葉になる芽が入った葉芽と、花になる芽が入った花芽があり、1つの冬芽から花も葉も出る混芽というのもあります。

 

寒さや乾燥といった冬の厳しさから芽を守るために、鱗のようなもの(芽鱗:がりん)で守られていたり、フサフサの毛で覆われていたりと様々な個性が見られ、葉を落としてしまった樹木も、冬芽を見て何の木か判別することができます。

 

冬芽を観察して、その個性的な表情に季節の移ろいを感じたり新しい発見に驚いたり。そんな植物観察も冬の野外の一つの楽しみ方です。

 

 

 

 

冬芽観察に出かけよう!

冬芽観察に出かけよう

 

2月中旬。まだまだ寒さは残りますが、少しずつ雪も融け始め、冬芽観察にはちょうど良い頃でしょうか。

 

子どもたちと冬芽観察をしてみようと、天気のいい日を狙って森林公園にやってきました。

 

広大な敷地にはまだたくさんの雪が残っていますが、どんな冬芽を見つけられるでしょうか。

虫眼鏡と冬芽図鑑を持って行ってきまーす!

 

冬芽を観察しよう

 

冬芽とはどういうものなのかを説明し、「見つけたら教えてね!誰が早く見つけられるかな?」というと、早速枯れ木に近づき、枝の先をじーっと観察する子どもたち。

「あった!」「こっちにもあるよ!」とすぐに冬芽を発見!近づいてみると、確かにそこには冬芽が。

実際の冬芽は思っていたより小さく、意識して見ようとしない限り、普通に歩いているだけでは気づかないかもしれません。

普段だったら見過ごしそうなところに、季節の移ろいが潜んでいたのですね。

 

 

 

以下に、今回見つけたいろいろな冬芽を紹介します。
樹木名の札が無かったものは自分たちで図鑑で調べていますが、間違っているかもしれませんのでご容赦ください。(図鑑で名前を調べたものは※マークをつけています)

 

ヤマザクラ(※)の冬芽。外側の鱗のようなものが芽鱗で、中の芽を守っています。

ヤマザクラ(※)の冬芽。外側の鱗のようなものが芽鱗で、中の芽を守っています。

 

コブシ(※)の花芽。こちらはフワフワの毛をまとって暖かそう。

コブシ(※)の花芽。こちらはフワフワの毛をまとって暖かそう。

 

こちらはコブシ(※)の葉芽。短い毛で覆われています。

こちらはコブシ(※)の葉芽。短い毛で覆われています。

 

ミツバツツジ(※)の花芽。芽鱗に細かい毛が生えています。

ミツバツツジ(※)の花芽。芽鱗に細かい毛が生えています。

 

モミジバスズカケノキ (※)1枚の芽鱗にすっぽり包まれています。

モミジバスズカケノキ (※)1枚の芽鱗にすっぽり包まれています。

 

ドウダンツツジ。赤くてぷっくりしていて可愛らしいですね。

ドウダンツツジ。赤くてぷっくりしていて可愛らしいですね。

 

キングサリの冬芽。なかなか渋い佇まいです。

キングサリの冬芽。なかなか渋い佇まいです。

 

タラノキの冬芽。枝にトゲがあってなんだか強そうですが、ここから出てくる新芽は山菜のタラノメとしてよく食べられています。

タラノキの冬芽。枝にトゲがあってなんだか強そうですが、ここから出てくる新芽は山菜のタラノメとしてよく食べられています。

 

コバノガマズミ(※)の冬芽。フサフサの毛が光を浴びてキラキラしています。暖かそうですね。

コバノガマズミ(※)の冬芽。フサフサの毛が光を浴びてキラキラしています。暖かそうですね。

 

ネジキ(※)の冬芽。枝も芽も真っ赤で目立っていました。

ネジキ(※)の冬芽。枝も芽も真っ赤で目立っていました。

 

ウリカエデ(※)の冬芽。枝の縞模様が特徴的ですね。

ウリカエデ(※)の冬芽。枝の縞模様が特徴的ですね。

 

ハナミズキ(※)の花芽。玉ねぎみたいな形が面白いですね。

ハナミズキ(※)の花芽。玉ねぎみたいな形が面白いですね。

 

ノウゼンカズラの気根

ちょっと面白いものを見つけました!冬芽は写真では隠れてしまっていてよく見えませんが、ノウゼンカズラの気根(地上から空気中に出る根)です。稀に葉痕(葉がついていた痕)の左右に現れるようです。

すごく目をひく面白い形で、子どもたちも「なにこれー!変なのー!」と騒いでいました。

 

こんな発見も、植物観察の楽しさですね。

 

気になる冬芽があったら図鑑でチェック!

気になる冬芽があったら図鑑でチェック!

 

 

 

ちょっと森林公園を一周しただけでもいろんな冬芽を見つけることができ、個性豊かな色や形に「こんなのもあるんだねー」と驚く子どもたち。冬を越すための植物たちの工夫を知り、植物の生命力ってすごい!と感心しながら冬の植物観察を楽しんだのでした。

 

 

 

啓翁桜の冬芽

ちなみに、帰宅後子どもたちから「ここにも冬芽があったよ!」との声が。

見てみると、花瓶に飾っていた啓翁桜の枝に冬芽を発見!

 

葉を伸ばし始めている冬芽も。小さな芽からこんなに大きな葉が出てくるなんて、植物ってすごいですね。

葉を伸ばし始めている冬芽も。小さな芽からこんなに大きな葉が出てくるなんて、植物ってすごいですね。

 

 

 

 

さいごに

 

親子で冬芽観察をしよう

 

今回は、冬芽観察についてご紹介しました。

 

普段枯れ木の枝の先をじっくり見ることなど無かったので、こんなにも様々な冬芽が春を迎える支度をしていたのかと驚くと共に、たくさんの発見がありました。

これから外を歩く時にも、じっと枝の先を見つめてしまいそうです。

子どもたちも冬の森林公園を駆け回り、野外活動をしっかり満喫していたようでした。

 

ほころび始めている冬芽には、春の気配を感じます。

寒さをちょっと我慢して、子どもと一緒に奥深い冬芽の世界をちょっとのぞいてみませんか?

この記事をシェアする

一覧に戻る