2022.09.27 up
空を見上げてみよう。秋の空、秋の雲ってどんなもの?[親子のための今月のRemind]
名残惜しそうにしていた残暑もすっかり落ち着き、爽やかで過ごしやすい季節になりました。朝晩の肌寒さや夏とは少し表情を変えた空に、秋の訪れを感じます。
どこまでも見渡せそうな澄んだ青や、赤とんぼが舞う空に浮かぶいわし雲。
今回は、そんな秋の空模様についてご紹介します。
外遊びもはかどる清々しい季節です。子どもたちと一緒に外に出て、たまに空を見上げながら親子の時間を楽しんでみませんか?
秋の空は“高い”?
秋の空というと爽やかな晴れ空をイメージすることも多いかもしれませんが、秋の前半は秋雨や台風の多い時期。9月は一年で最も台風の発生が多く、毎年大きな被害も出ています。しかし、秋雨や台風シーズンが過ぎた10月頃からは、大きな移動性高気圧が日本列島を覆い、安定した晴れの日が多くなります。
秋の好時節を「天高く馬肥ゆる秋」と言ったりしますが、「天高く」とは、空が澄み渡って高く見えるという意味。
空が高く見える理由は2つあり、一つは、空気が乾いているため空が澄んで見通しがよく、青色がくっきりとしているから。そして二つ目は、秋らしいイメージのあるすじ雲やひつじ雲は高い位置にできるから。
雲の中で最も高い位置にできる巻雲(すじ雲)は、高度7000メートル〜10000メートルにできます。
秋の空は変わりやすい?
気持ちがうつろいやすいことを「女心と秋の空」と例えますが、秋の天気は次々に変わります。
夏の間弱かった偏西風が秋にかけて強く吹くようになり、低気圧や高気圧が短い周期で通過するため、数日ごとに晴れや雨が繰り返されることが多いのです。
外でのレジャーを満喫できる季節ですが、しばらくは天気予報とにらめっこの日々になりそうですね。
秋の雲
秋によく発生し、秋らしい印象を与える雲をいくつか紹介します。
巻雲(すじ雲)
「けんうん」と読みます。
まず真っ先に秋の訪れを教えてくれるのがこの巻雲で、すじ雲とも呼ばれます。
上空に偏西風が吹くようになると、高度の高いところにある氷の粒が落ちる時に風に流されて、すじ状の巻雲になります。
澄んだ青のキャンバスにハケでサーっと描いたような雲が、秋の爽やかさを醸し出します。
写真の左側、ハケでサーっと描いたような巻雲
巻積雲(いわし雲/うろこ雲/さば雲)
「けんせきうん」と読みます。
薄くて小さなかたまり状の雲が平面に並んで見えるのが巻積雲。規則正しく並ぶことも多いため、いわしの群れやうろこに例えて「いわし雲」「うろこ雲」、縞模様になったものは「さば雲」と呼ぶこともあり、これらは秋の季語にもなっています。
高積雲(ひつじ雲)
「こうせきうん」と読みます。
巻積雲より大きめのかたまり状の雲が集まって群れになったのが高積雲。氷の粒が高密度なので光を反射しやすく、雲が薄いために灰色の影ができにくいので、色が白いことが特徴です。
規則的に並ぶ様をひつじの群れに例えて「ひつじ雲」ともいい、巻積雲よりも低い空に浮かびます。
空を覆うひつじの群れには迫力も感じますね。
さいごに
今回は、秋の空や雲についてご紹介しました。
9月10月は台風も多く、天気に振り回されることもありますが、秋晴れの空にはなんだか心まですがすがしくなるような気がします。
外に出て「あれはいわし雲だよ」「あっちはなんの雲かな?」と語らいながら過ごす、季節ならではの親子の時間。特別じゃなくても、何気ない日常の思い出として子どもたちの記憶にも刻まれるのではないでしょうか。
全く同じ空、同じ雲は二つとありません。今この瞬間だけに見られる空を眺めながら、親子の時間を過ごしてみませんか?
(参考)
『図説 空と雲の不思議 きれいな空・すごい雲を科学する』著:池田圭一 発行:秀和システム
『雲と暮らす。雲と出会い、雲を愛でる』武田康男 発行:誠文堂新光社
『12ヶ月のお天気図鑑』武田康男・菊池真以 発行:河出書房新社